5/22(水)に金融庁が作成した『資産寿命についての指針案』では、老後の生活資金をすべて年金でまかなうのは困難、との見解が発表されました。
「老後資金には2,000万円必要」というキーワードばかりが一人歩きしていますが、個人の生活スタイルや貯蓄・仕事の状況によって老後資金の不足額は異なります。
一方で、その前週5/13(月)にはトヨタ自動車の豊田章男社長が「終身雇用を守っていくのは難しい」と発言したこともあって、「そもそも老後まで大丈夫なのか?」といった不安感も増しています。
老後資金に年金がアテにできないらしいから、足りない分はFXで稼ごうと思ってるんだけど…
こんな疑問に答えます。
この記事の内容
- 老後の資金が足りないからといって、安易にFXを始めてはいけません
- FXは簡単に始められて簡単に勝てるけど、簡単に資金を失います
- 長く続けるコツは「事前準備」と「無理しない」の2つだけ
この記事を書いている私は、FX歴10年超、アラフォーど真ん中の団塊ジュニア・トレーダーです。
「老後資金には年金だけじゃ足りないって金融庁も認めたけど…」って理由で、老後の生活費の足りない分をFXで稼ごうという話をよく聞くようになりました。
この記事では、『事前準備と無理しないFXトレードで老後資金を豊かにしよう!』について解説します。
老後の資金が足りないからといって、安易にFXを始めてはいけません
金融庁が『年金給付水準の維持』は難しいと認めてしまった
各報道機関やネット上でその内容が広く扱われていましたが、5/22(水)に資産寿命についての指針案を金融庁として初めてまとめました。
この資産寿命についての指針案では、少子高齢化によって年金の給付水準の維持が困難な状態であるとハッキリ伝えています。
このため資産寿命についての指針案の中で、仕事をできるだけ続けていくことや年金のみに頼らずに自分で資産を形成したり運用することを勧める『自助努力』を呼びかけています。
老後資金の不足額は、約2,000万円となることも…
金融庁がまとめた資産寿命についての指針案の21ページにある、『資産寿命の延伸』というチャプターでは以下のように述べられています。
前述のとおり、夫 65 歳以上、妻 60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ 20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になる。
この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。
当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。
金融審議会市場ワーキング・グループ
『(1)長寿化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要』より抜粋
この報告書で述べられている通り個々の事情で異なりますが、老後20~30年間で約2,000万円の生活資金が不足するとのこと。
年金を頼りにしている方々にとってもあまり老後に興味がなかった方々でも、金額としてはかなり衝撃を受ける金額です。
しかも日本の金融(お金を融通すること)のすべてを監理・監督する金融庁が認めてしまったことにも、驚きが隠せません。
「終身雇用難しい」発言直後で、ネット上では炎上気味に…
金融庁が「年金オワター」を手を挙げてしまったわけですから、世間的にもサプライズ、ネットでは「年金返せーッ」「だったら自分で運用するわッ」と炎上騒ぎ。
一方で「もともと年金にそんなに期待してないよ」「年金だけで老後を乗り切ろうなんて思ってない」など、なにをいまさら…という向きもあるようです。
ただ、5/13(月)にトヨタ自動車の豊田章男社長が「なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」という発言の直後に金融庁が資産寿命についての指針案を発表したため、「終身雇用も期待できないのに、頼みの綱の年金まで足りないの?」と悲壮感がグッと増してしまいました。
「ドル」や「ユーロ」は身近で聞き馴染みのある言葉
テレビ各局の天気予報の後に、「日経平均株価」やら「ドル円・ユーロ円」の価格を伝える株と為替の値動きの報道が必ずありますよね?
毎日無意識に「ドル」「ユーロ」と見て聞く機会があるわけです。
さらに「株ってよくわからないけど、ドルやユーロって海外旅行に行くときに両替してよく知ってるし」と身近に感じて頭にすぐ浮かぶわけです。
「老後の足りない生活費をFXで稼ごう」と安易に考えてしまう理由
この「身近でよく聞くから知っている(つもりになっている)」ことこそが、他でもなく安易に「FXで稼ごう」という選択をしてしまう理由です。
さらに「FXのことをネットで調べてみよう」と一歩踏み出して調べてみると、「簡単に稼げる」「放置してても稼げる」といった、まるでFXのハードルが無いかのようなキャッチコピーを見つけてしまいます。
こうして「聞き馴染みがあるドルやユーロで簡単に稼げる」と思い込んで、しっかりとした準備やトレード計画無しにFXトレードを始めてしまうことこそ、資金を失って退場してしまうことになります。
FXは簡単に始められて簡単に勝てるけど、簡単に資金を失います
FX各社には、FXトレードを簡単に始められる仕組みを用意しています
FX各社は煩雑になりがちなFX口座の開設やFXトレードがスムーズに始められるように、各種手続きや各証明書のやり取りしやすい仕組みを用意しています。
対応が早いFX会社だと、FX口座手続き開始から半日足らずでFXトレードを開始できるFX口座もあるようです。
つまりFX初心者でも「簡単に始められる」のがFXトレードというわけです。
簡単に勝てるけど、簡単に負けて資金を失います
この「すぐに」FXトレードを始められる仕組みのおかげで、事前にしっかりとした準備をせずにトレードを始めてしまうFX初心者が後を絶ちません。
確かに上昇していれば買い・下落していたら売り、の二択なので、値動きの方向に乗ることができれば簡単に勝ちます。
でも値動きの方向に乗ることができなければ、勝つのと同じくらい簡単に負けて資金を失います。
FXトレードを始める前には入念な準備とトレード計画を立てる必要がありますが、できないトレーダーは資金を失い早々に退場してしまいます。
長く続けるコツは「事前準備」と「無理しない」の2つだけ
事前準備の大切さ
「ドルやユーロを買ったり売ったりするだけなのに、なんで準備が必要なの?」「習うより慣れろ!であれこれ考える前に売買経験を積んだ方がいいでしょ?」と思うのもよくわかります。
でもく考えるとわかるんですが、負けると全額失ってしまうかもしれないFXトレードに使用する資金は自分のお金です。
もし自分のお金を失いたくないなら、少なくとも次のような事前準備はしっかりとしておく必要があります。
- 資金管理…全資金のうち何%をトレードに使用するか?
- 損失管理…全資金のうち何%まで資金の目減りを許すか?
- 環境管理…FXトレードするパソコンやスマホの状態は?もしもの代替環境は?
- 時間管理…毎日どの時間帯でトレードチャンスを狙うか?
- 日程管理…トレードに集中する日時は?あえてトレードしない日時は?
- 記録管理…トレードの記録の仕方は?
けっして無理をしないトレードを目指す
トレード前の事前準備は大切ですが、もっと大切なことは「無理しない」ことです。
特に負けが続くと「次こそは!」「勝つまで続ける!」と精神的に追い込まれて、しかも自分で追い込まれていることに気づかずに無理なトレードをしてしまうことがよくあります。
まずはFXデモ口座を開設して、実際の値動きを確認しながら為替取引の勉強をするのがよいでしょう。
コツコツとFXトレードを続けることが上達の近道
普段の生活の中に新たにFXトレードを加えるので、生活サイクル維持のためにFXの代わりに何かを止めたり減らしたりする必要も出てくるでしょう。
『全部できるけど全部はやらない』というエッセンシャル思考に基づいて、FXトレードに集中する時間を創ってください。
毎年、自己資金を失って為替市場から退場するトレーダーは全体の約90%とも言われています。
つまり退場せずにコツコツと続けられさえすれば、為替市場で生き残ってトレーダー上位10%に入ることができるということです。
まとめ:事前準備と無理をしないトレードで老後を豊かにする
老後の生活を支えるために必要な資金は、年金だけでは足りないと金融庁が発表しました。
老後の生活を豊かにするためにも、今のうちからFXトレードに取り組むこと自体は決して否定しません。
でも「聞いたことがあるから大丈夫、簡単にFXで稼げるよ」と思うのは、大きな間違いです。
- 老後の不安のために、よく理解していないFXトレードを始めてはいけない
- まずはFXトレードを理解してから、FXトレードを始める準備をしよう
- 無理に勝とうとしないで、損失を許される範囲に留めながらコツコツとトレードを続けよう
「老後を豊かにするためにFXトレードを選択しよう」とお考えなら、これら3つのポイントをよく確認してみてくださいね。